学術論文情報
興和株式会社が支援・実施した研究の論文概要です。
本コンテンツ掲載の臨床論文は治験を除き、当該製品の「効能又は効果」、「用法及び用量」の範囲で検討されたものです。
「効能又は効果」に直接関連しない項目が主題となっている論文もありますが、適応外使用を推奨するものではありません。
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SGLT2阻害薬の短期投与では2型糖尿病患者の全身インスリンクリアランスは変化しない
Sato M. et al.英文本研究では、トホグリフロジン投与による血糖改善、脂肪量の低下及び体重減少に先立ち、インスリンクリアランスが改善するかどうかを検討した。日本人2型糖尿病男性患者12名を対象にトホグリフロジンを単回投与、8週間反復投与したときの内因性糖産生及びインスリンクリアランスを評価した。インスリンクリアランスは高インスリン正常血糖クランプ法により測定した。インスリンクリアランスは単回投与及び8週投与のいずれにおいても変化しなかった。投与8週時において血糖、体重、血圧、脂肪量などの指標は改善したが、インスリン感受性、筋肉や肝臓の異所性脂肪量に有意な変化はなかった。
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SGLT2阻害薬トホグリフロジン単回投与による内因性糖産生には血糖低下が必要
Yamasaki N. et al.英文日本人2型糖尿病男性患者12名を対象に、薬剤無投与(CON)、トホグリフロジン単回投与(TOF)、CONで観察された血糖(PG)値の変化を模倣するために外因性グルコース注入でPG値を調整しながらTOFを単回投与(TOF+G)の条件で内因性糖産生(EGP)を評価した。 ベースラインから薬物投与180分後までのEGP、C-ペプチドおよびグルカゴン濃度の変化を評価した。EGPは、CONおよびTOF+Gでは減少したが、TOFでは減少しなかった。 C-ペプチドは、TOFにおいて、CONおよびTOF+Gより有意に減少した。一方、グルカゴンは、CONに比べ、TOFは有意に増加した。
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ROCK阻害薬は3T3-L1細胞の大型脂質リッチ3Dオルガノイドの形成を亢進する
Ida Y, et al.英文2Dまたは3D培養した3T3-L1細胞を用いて、脂肪細胞分化誘導、細胞外マトリックス(ECM)遺伝子発現等に対するROCK阻害薬の作用を評価した。脂肪分化誘導により、培養細胞における脂肪生成関連遺伝子のmRNAの発現は増加し、3Dオルガノイドの硬度を低下させたが、これらの発現はROCK阻害薬により増強し、3Dオルガノイドの硬度は低下した。
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メトホルミンおよびDPP-4阻害薬を併用中の2型糖尿病患者を対象とした、トホグリフロジンとグリメピリドの有用性に関する比較研究:無作為化24週間オープンラベル比較対照試験
Kitazawa T. et al.英文トホグリフロジン(20 mg/日、n=33)またはグリメピリド(0.5 mg/日、n=31)を用い比較検討した。主要評価項目は体脂肪率の変化。副次評価項目はHbA1c、体脂肪量、除脂肪量、肝機能、尿酸等の変化とした。両群とも同程度のHbA1cの低下を認めたが、ベースライン時からの体脂肪率に変化は認められなかった。
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トホグリフロジン投与初期の体重変動から中期的な脱水リスクを予測できるか?(SWEAT研究)
天沼 満、他和文2型糖尿病患者131例を対象とし、トホグリフロジン投与から2週間、体重・体脂肪率・尿回数・飲水量の日誌をつけ、来院検査にて24週間ヘマトクリット等を観察した。2週間で体重・体脂肪率は緩徐に低下し、飲水量・排尿回数は初日から増加した。
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新規選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα)K-877のスタチン併用療法の有効性と安全性:脂質異常症患者における無作為化二重盲検プラセボ対照の2試験
Arai H, et al.英文高TG血症治療に対するK-877追加治療の有効性を安全性評価するため、以下の2試験を実施した(多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験)。(A)患者188例を対象としたK-877(0.1、0.2、0.4 mg/日)とピタバスタチンの12週間併用試験。(B)患者423例を対象としたK-877(0.2 mg/日固定、または状態に応じて0.4 mg/日まで増量)といずれかのスタチンの24週間併用試験。2つの試験で空腹時TG値は全ての併用療法群で約50%の低下を認めた。
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高脂肪食誘発性肥満マウスにおける内臓脂肪組織の慢性炎症に対するトホグリフロジン長期投与による影響
Shirakawa K, et al.英文野生型マウスに4週齢から26週間HFDを与え、食事誘発性肥満(DIO)マウスを作成した。30週齢の時点で、これらのDIOマウスの半数を通常食(NC)に切り替え、0.005%トホグリフロジンの投与群または非投与群に分けて38週間観察した。残りのマウスは、HFDのまま0.005%トホグリフロジンの投与群または非投与群に分け38週間観察した。DIOマウスをNCに切り替えたとき、体重は離乳期の水準まで減少し、38週後(68週齢)まで維持された。また、38週後に老化T細胞の消失とともに内臓脂肪組織(VAT)の慢性炎症は沈静化した。HFD群では、炭水化物摂取量はNC群の半分以下であり、トホグリフロジンによる尿糖排泄量はNC群よりもHFD群の方が低かった。
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2型糖尿病モデルマウスにおける網膜の神経血管カップリングに対するトホグリフロジンの効果
Hanaguri J, et al.英文6週齢のdb/dbマウスに8週間トホグリフロジン(5 mg/kg/日)、混餌投与又はプラセボ(普通食)を与え、高酸素負荷及びフリッカー刺激に対する網膜の神経機能及び血流反応の経時的変化を8週齢~14週齢まで2週間ごとに評価した。また、網膜のグリア細胞の活性化とVEGFの発現を免疫蛍光抗体法で評価した。トホグリフロジン投与により、投与開始2週(8週齢)からdb/dbマウスの血糖値は持続的に低下した。プラセボ投与群と比較して、トホグリフロジン投与群では8週齢~14週齢において高酸素負荷及びフリッカー刺激に対する反応が改善した。また、網膜電図におけるOP波の潜時延長がトホグリフロジン投与群で有意に改善した。
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トホグリフロジンの代謝作用は適切な食事の糖質比率で効率的に強化され、糖質制限とは異なっていた
Ito S, et al.英文6週のKK-Ayマウスに通常食(NC)、低炭水化物食(LC)、極端な低炭水化物食(SR)の、摂取カロリーを同一にした食事で12週間同時飼育した。NC食およびLC食を与えたマウスにはトホグリフロジンを投与して検討した。SR食群で血糖値、体重、TG値は有意に上昇したが、肝TG含有量はNC・LC・SR食群で変化はなかった。NC食を与えたマウスではトホグリフロジン投与により血糖、体重、TG値、肝TG含有量が有意に低下した。LC食を与えたマウスでは体重は有意に低下したが、血糖値は2~6週時にのみ有意な低下が認められ、TG値および肝TG含有量は改善しなかった。
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SGLT2阻害薬の腎アデノシン制御による抗肥満作用
萩原 あいか、他英文SGLT2阻害薬による尿糖増加に伴う腎糖低下が腎臓全体のエネルギー代謝を変容させ、解糖系中間代謝物、アセチルCoAおよびTCA回路の低下、ATP低下およびアデノシン上昇をきたし、腎自律神経求心路を介して全身のエネルギー代謝にも影響を与える可能性が示唆された。
