学術論文情報
興和株式会社が支援・実施した研究の論文概要です。
本コンテンツ掲載の臨床論文は治験を除き、当該製品の「効能又は効果」、「用法及び用量」の範囲で検討されたものです。
「効能又は効果」に直接関連しない項目が主題となっている論文もありますが、適応外使用を推奨するものではありません。
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ROCK1と2はヒト角膜間質線維芽細胞由来の3Dスフェロイドの空間構造に異なる影響を与えた
Ida Y, et al.英文ヒト角膜間質の空間構造におけるROCK1と2の役割を検討するため、Pan-ROCK阻害剤であるリパスジルおよびROCK2阻害剤であるKD025の影響を調べた。ROCK阻害剤を用いた遺伝子発現解析では、KD025がリパスジルよりも有意な変化を誘導した。
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プロスタグランジン誘導体へのROCK阻害薬の添加はヒト眼窩部線維芽細胞を用いた3Dスフェロイドの脂肪分化に相乗的な影響を与える
Hikage F, et al.英文ヒト眼窩部線維芽細胞を用いて作製した3DスフェロイドをDUESモデルとして、プロスタグランジン関連薬へのROCK阻害薬追加効果を検討した。脂肪分化誘導により、3Dスフェロイドにおける脂肪産生の亢進とそれに伴うスフェロイド径や硬度の増加を認めた。プロスタグランジン関連薬存在下では、脂肪分化が抑制され、スフェロイドの狭小化と硬度の上昇がみられた。ROCK阻害薬をプロスタグランジン関連薬と同時添加することで、一部の細胞外マトリクス関連遺伝子の発現上昇を除き、プロスタグランジン関連薬単剤での効果がすべて抑制された。
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脂質異常症と重度腎機能障害を併発する患者におけるペマフィブラートの薬物動態と安全性:第Ⅳ相試験
Ishibashi S, et al.英文製造販売後臨床試験試験として、多施設、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験を実施した。A群(eGFR<30 mL/min/1.73m2、非透析)、B群(透析)、C群(30≦eGFR<60 mL/min/1.73m2)のそれぞれの群においてペマフィブラート0.2 mg/日またはプラセボにランダムに割付け(A群(ペマフィブラート:4例、プラセボ:2例)、B群(ペマフィブラート:4例、プラセボ:1例)、C群(ペマフィブラート:8例、プラセボ:2例))、12週間投与した。ペマフィブラート12週投与後のAUCτを主要評価項目とした。12週後のペマフィブラートのAUCτはA群+B群と、C群でそれぞれ7.333、7.991ng・h/mLであり、幾何平均の比は0.92であった。
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SGLT2阻害薬は腎うっ血ラットにおいて腎障害を抑制した
Endo A, et al.英文Sprague-Dawleyラットの左右腎静脈の間の下大静脈を結紮して左腎のみをうっ血状態とし、うっ血のない右腎と比較した。うっ血側の腎では腎重量および水分量は増加し、腎障害マーカーや線維化マーカーの増加が認められた。トホグリフロジン投与により、腎重量増加と水分量増加が改善し、特に腎皮質における腎障害マーカーや線維化マーカーが抑制されていた。また、うっ血腎における炎症マーカーの増加やミトコンドリア障害もトホグリフロジンによって改善した。
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EP2受容体作動薬オミデネパグはヒト眼窩線維芽細胞においてグレーブス眼症を判別するのに有用である
Ida Y, et al.英文眼窩脂肪ヘルニア患者から採取した眼窩部線維芽細胞(グレーブス眼症の既往無:n-HOF/有:GHOF)を用いて3Dスフェロイドを作製し、緑内障治療薬であるオミデネパグ、またはリパスジル添加時の影響を検討した。 リパスジル添加によりn-HOF、GHOFの3Dスフェロイドはいずれも大きくなり、硬度が低下した。リパスジル添加後の細胞外マトリックス関連遺伝子(COL1、FN)の発現は、これら2種の細胞間で異なる挙動を示した。
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Pan-ROCK阻害薬およびROCK2阻害薬はデキサメタゾン処理した2D及び3D培養ヒト線維柱帯細胞に異なる作用を示す
Watanabe M, et al.英文ヒト線維柱帯細胞をデキサメタゾン刺激下において2D及び3Dスフェロイドとして培養し、ステロイド緑内障モデルを構築し、pan-ROCK阻害薬(リパスジル)とROCK2阻害薬を添加した際の薬剤の効果を検討した。デキサメタゾン刺激で誘導された3Dスフェロイドの狭小化は、リパスジルの添加で抑制を認めたものの、ROCK2阻害薬では縮小が確認された。その一方で、リパスジルの添加により3Dスフェロイドの硬度は上昇し、ROCK2阻害薬では硬度が低下した。
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ペマフィブラート徐放錠の有効性と安全性:第Ⅲ相、多施設共同、ランダム化二重盲検、実薬対照、並行群間比較試験
Arai H, et al.英文空腹時TGが200 mg/dL以上の患者(356例)を対象にIR錠(0.2 mg/日)またはXR錠(0.2または0.4 mg/日)が投与された。主要有効性評価項目は、ベースライン値から4週、8週、12週までの空腹時トリグリセリド値の変化率とした。IR錠0.2 mg/日(n=117)、XR錠0.2 mg/日(n=117)、XR錠0.4 mg/日(n=119)の投与により、空腹時TG値はそれぞれ48.0%、43.8%、48.0%低下し、XR錠の両方の用量がIR錠に対して非劣性であることが確認された。空腹時TG値150 mg/dL未満を達成した患者の割合は、それぞれ45.7%、37.4%、51.7%であった。
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糖尿病肥満マウスにおけるSGLT2阻害剤トホグリフロジンの大腸腫瘍形成抑制効果
Kato J, et al.英文C57BL/KsJ‑db/dbマウスにアゾキシメタンを負荷し大腸がんを誘発させ、トホグリフロジンを含む/含まない水を投与した。トホグリフロジンを投与した群では大腸がん性病変の進行と腸陰窩部のβ-カテニン蓄積を抑制した。さらに血中グルコースとTNF-α、白色脂肪細胞の炎症誘発性マーカーのmRNAの発現を減少させ、白色脂肪組織におけるマクロファージ浸潤も大幅に減少させた。SGLT2が発現しているヒト大腸がん細胞の増殖はトホグリフロジンによって変化しなかった。
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肥満糖尿病モデルマウスにおけるジエチルニトロソアミンが誘導する肝癌に対するトホグリフロジンの効果
Obara K, et al.英文マウスにジエチルニトロソアミン(DEN)を含有した水を2週間投与し、DENのみ群、DEN+トホグリフロジン低用量投与群、DEN+トホグリフロジン高用量投与群に分けを14週間飼育継続した。DENのみ群と比較し、トホグリフロジン投与群で肝の前癌病変の進展およびNASを用いて評価した脂肪肝と炎症は、コントロール群に比べて有意に抑制された。また、血糖値、遊離脂肪酸、肝における炎症マーカーのmRNA発現レベルはトホグリフロジン投与群で有意に低下した。
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SGLT2阻害薬であるトホグリフロジンは新規モデルマウスにおいてNASH関連肝癌の進展を抑制した
Yoshioka N, et al.英文哺乳類NASH関連肝がんモデルの確立を目指して、4型メラノコルチン受容体(Mc4r)KOマウスに前発がん物質であるDEN(diethylnitrosamine)と高脂肪食(Western diet:WD)を負荷したマウスを作成し、本モデルが薬効評価モデルとして有用であるか検証した。薬効評価にはSGLT2阻害薬であるトホグリフロジンを用いた。本モデルは、比較的短期間(WD負荷開始から約3ヵ月)で、肥満や糖尿病、NASHの発症とともに複数の肝腫瘍を形成した。本モデルにおいて、トホグリフロジンの投与は血糖値を低下させ、NASHや肝腫瘍の進展も抑制した。また、肝臓の非腫瘍性病変における肝細胞のp21発現を抑制した。
