学術論文情報
興和株式会社が支援・実施した研究の論文概要です。
本コンテンツ掲載の臨床論文は治験を除き、当該製品の「効能又は効果」、「用法及び用量」の範囲で検討されたものです。
「効能又は効果」に直接関連しない項目が主題となっている論文もありますが、適応外使用を推奨するものではありません。
-
新開発のPPARαアゴニスト(R)-K-13675は細胞増殖や血管形成に影響を与えることなく炎症マーカーの分泌を阻害する
Kitajima K, et al英文ヒト冠状動脈内皮細胞(HCEC)にペマフィブラートと各種濃度(0、10、20、50、100nM)で添加すると、細胞増殖や血管形成に影響することなく、MCP-1、RANTES、IL-6、INF-γ、NF-kBの発現は低下し、CCR-2の発現は増加した。
-
未熟児網膜症(ROP)に対するリパスジル点眼薬の安全性と有効性:第Ⅰ/Ⅱ相非盲検単群試験
※未承認情報が含まれます
Arima M, et al英文未熟児網膜症(ROP)に対するリパスジルの安全性と有効性を評価することを目的に、多施設非盲検単群の第1/2相臨床試験を実施した。妊娠週数(GA)が32週以下、または体重が1500g以下で、両眼にゾーンIまたはII、ステージ1以上のROPを有する乳児が登録された。第1相試験は用量漸増試験(1日1回1週間、その後1日2回2週間)であり、安全性に問題がなければ9週間までの追加投与が可能であった。第2相試験では、リパスジルを1日2回、最長12週間まで投与した。結果として24人の乳児が登録された(第1相、n=3、第2相、n=21)。19例に全身性、4例に眼局所の有害事象が発生したが、リパスジルとの因果関係は否定された。有効性のエンドポイント(1型ROP進行患者の割合、1型ROP進行日数)はリパスジル群とヒストリカルコントロール群で差がなかった。しかし、GA≦27週の超早産児のサブグループでは、リパスジル群はヒストリカルコントロール群よりも1型ROPに進行した患者が少なく、進行日数も長かった。本試験よりリパスジルは乳児に対して安全であり、特にGAが短い超早産児において1型ROPの進行を抑制、遅延させた。
-
炎症によって誘導されるClaudin-5再分布が抗VEGF治療抵抗糖尿病黄斑浮腫(DME)につながる
Arima M, et al英文非糖尿病性増殖網膜症モデルであるKimbaマウスの網膜におけるVEGFの過剰発現は、炎症性サイトカインのアップレギュレーションの遅延、単球/マクロファージの浸潤、マクロファージ/ミクログリアの活性化、Claudin-5再分布による血液網膜関門の破綻を引き起こした。これはVEGFの阻害だけでは回復しなかった。KimbaマウスにROCK阻害剤であるリパスジルの投与により、網膜の炎症とClaudin-5の再分布を抑制した。さらに抗VEGF剤とリパスジルを併用することで、サイトカインのアップレギュレーション、単球/マクロファージの浸潤、マクロファージ/ミクログリアの活性化、Claudin-5の再分布の抑制に相乗効果が認められた。
-
異型マクロファージ/ミクログリアは網膜虚血や血管新生に異なる影響を与える
Yamaguchi M, et al.英文酸素誘発網膜症(OIR)マウスでは、網膜虚血領域においてM1様マクロファージ/ミクログリアマーカー(CD80、CD68、NOS2)が上昇し、新生血管領域においてM2様マクロファージ/ミクログリアマーカー(CD206、CD163、MSR1)が上昇していた。虚血網膜のscRNA-seq解析により、M1マーカーとCCR2を発現するマクロファージ/ミクログリアの虚血に関連した明確なクラスターが明らかになった。ROCK阻害剤であるリパスジルを投与すると、虚血領域でCCL2の発現が抑制され、CCR2陽性M1様マクロファージ/ミクログリアが減少した。
-
Rhoキナーゼ阻害点眼薬リパスジルは角膜内皮細胞の形態を一時的に変化させた
Okumura N, et al.英文ヒトにリパスジルを点眼後、角膜内皮の形態変化を反射顕微鏡検査およびスリットランプ顕微鏡検査により評価した。また、ウサギモデルを用いて角膜内皮の臨床パラメータに対するリパスジルの影響を評価した。リパスジル点眼24時間後、角膜標本を免疫組織化学検査であるフファロイジン染色、電子顕微鏡検査により評価した。反射顕微鏡検査でヒト角膜の形態変化が明らかとなり、スリットランプ顕微鏡検査でグッタータ様(guttae-like)所見がみられた。ウサギモデルでも、リパスジル点眼後のヒトの眼でみられたものと同様な形態変化がみられた。
-
リパスジル点眼は成体マウスにおいて視神経損傷後の神経保護作用と軸索再生を促進した
Nishijima E, et al.英文視神経挫滅(ONC)後の成体マウスを用いて2%リパスジル5 μLを14日間毎日点眼した。リパスジル点眼はONC誘導性のp38MAPkinaseのリン酸化を抑制し、網膜神経節細胞死を減少させた。さらに、リパスジル点眼はCRMタンパク2とコフィリンのリン酸化を有意に抑制し、視神経の再生を促進した。
-
ROCK阻害剤による脈管正常化:網膜血管形成と低酸素症に対するリパスジル点眼の治療の可能性
Yamaguchi M, et al.英文リパスジル30 μmol/Lの前投与により、ヒト網膜微小血管内皮細胞(HRMECs)への血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が誘導するHRMECsのMYPT1のリン酸化を有意に減少させた。リパスジルはVEGFが誘導するHRMECsの遊走と増殖を有意に抑制した。生後7日から75%酸素条件で5日間飼育した酸素誘発網膜症(OIR)マウスに生理食塩水、0.4%リパスジル、0.8%リパスジルを1日3回5日間点眼した。リパスジルは生理食塩水に比べて、低酸素領域の増加を有意に抑制した。
-
Rhoキナーゼ阻害薬リパスジル(K-115)の単離したブタ網膜細動脈に対する作用
Kamiya T, et al.英文単離したブタ網膜細動脈に、リパスジル10 nM~30 μMを添加した際の血管拡張反応を、ビデオ顕微鏡を用いて評価した。血管内皮剥離やKチャネル阻害剤、ET-1がリパスジルの血管拡張に及ぼす影響を評価した。血管内皮は、CHAPS 0.4%を用いた管腔灌流にて除去した。リパスジルによる血管拡張は、内皮剥離やKチャネル阻害剤の影響を受けず、L-NAME、インドメタシン、スルファフェナゾールも、リパスジルに対する血管弛緩反応に影響を及ぼさなかった。
-
ヒト結膜線維芽細胞の活性化に対するRhoキナーゼ阻害剤リパスジル(K-115)の影響
Futakuchi A, et al.英文ヒト結膜線維芽細胞に対するリパスジルの効果を検討した。リパスジルはTGF-β2刺激によるα-SMA発現の増加を濃度依存的に抑制した。リパスジルは、Fibronectin産生やコラーゲンゲル収縮を抑制した。M2マクロファージ様細胞の培養上清は、α-SMA発現やゲル収縮を促進するが、リパスジルはそれらを抑制した。
-
線維柱帯およびシュレム管内皮細胞に対する新規ROCK阻害薬リパスジルの影響
Kaneko Y, et al.英文サルの線維柱帯細胞、シュレム管内皮細胞に対するリパスジルの効果を検討した。リパスジル添加により、線維柱帯細胞の形態変化、アクチン線維束の分解を認めた。また、リパスジルはシュレム管内皮細胞単層の電気抵抗減少、FITCデキストランの透過性を亢進させた。さらに、シュレム管内皮細胞単層のZO-1発現を低下させた。
